HEPSA/一橋大学派遣交換留学生の会

留学体験記・国立台湾大学

台湾/ 国立台湾大学
”かき消されてしまう人々の声、
記事には載らない一般の人達と触れ合い、
共に生活していく事の意義は、非常に大きい”
第一線の研究者や学生との高度な議論
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國立台湾大学は、台湾の中でも非常に優秀な学生が集まる、最もリベラルな校風の大学として有名であり、研究にもうってつけな場所です。各研究分野を引っ張っていく多くの学者が在籍しており、研究者や学生との高度な議論が期待できます。

 

 都市部のド真ん中と立地が飛び抜けて良く、アクセスが非常に良いです。これは私にとって重要で、研究のために学外の様々な団体にコンタクトするのに便利でした。また、研究分野に関わるイベントや学生サークルが学内で活発で、政治的な運動や、新聞にも載る様な団体もあるため、積極的な参加を薦めます。

 

広大なキャンパスな為、自転車必須。リスがあちこちにいる、自然豊かな緑のキャンパスです。

 

授業・学習状況

講演会・ボランティア・イベントにも積極参加
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「Gender, Peace and Security」
「Taiwan Through Queer Film and Literature」
「Exploring Taiwan: Film and Social Culture in Taiwan」
「Women and Taiwanese Society」
「East Asian Social Comparison」
「General Chinese Course」
「Enhancing Chinese Course」

聴講・講演会・ボランティア・イベント等。中国語の授業と英語の授業、もしくは半々のものも取った。

台湾と市民社会運動

緊張関係を持ちつつも、
連帯やポジティブな議論が熱く交わされる社会
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私は性別や人種に纏わる研究をしていますが、その対象や理論が西洋中心に議論される事の多さに疑問を覚える事も少なくありません。「アジアに行った事がない」と言ってしまう人が多い日本では、あたかも日本がアジアにないかのように振る舞い、自らの立場を先進的な国の市民だと無批判に上位に位置付け、他アジア諸国への無関心さや、無意識的な劣位的語りをする姿も何度も見てきました。

欧米圏に住んだ事もあるので言えますが、非西洋圏への留学をなぜか劣位的に扱う人には散々出会いました。一言でいうと「もったいない」ですね、としか言いようがありません。なので、ここでは幾つか紹介したい事があります。

 台湾では、フェミニズムやセクシュアリティに関する社会運動、民主主義や表現の自由、「ナショナリズム」に対する複雑な思い、デモ、様々なテーマで、緊張関係を持ちつつも連帯やポジティブな議論が熱く交わされることもあります。そういった政治や社会について、学ぶべき事は多々有ります。

台湾に関して、様々な記事や書籍が増えてきたこの頃ですが、その裏でかき消されてしまう人々の声記事には載らない一般の人達と触れ合い共に生活していく事の意義は、非常に大きいと思います。

 実際に、台湾大学付近にあるおすすめのスポットを紹介します。キャンパスの真横に「女書店」という、フェミニズム系のイベントが活発な本屋さんがあり、カフェと併設されているのですが、様々なアクティビティがあり、研究者やアクティビストとも出会えます

また、香港デモをテーマとした、「保護傘というレストランもあり、店員さんは全て香港からやってきた人々です。

植民地や台湾の負の歴史に関する展示も、二二八記念公園にある博物館や、台南にも大きな歴史博物館などがあり、日常風景にもよく見ると溶け込んでいます

マンゴーかき氷や小龍包なども美味しいですが、ただ「タピオカ美味しい」だけの留学ではなく(強調)、自分の興味関心と結びつけて、社会の様々な人々や政治に触れる事をお薦めします

 

最後に一言

好き、おかしい、と自分の言葉で表現する訓練
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私は、海外に計6年程滞在し、長期留学がこれで人生4回目ですが、酸いも甘いも経験しました。勿論、楽しい事ばかりではありませんし、むしろ大変な事の方が多いでしょう。その社会に対する理解が浅いと、 安易な二項対立で物事の良し悪しを判断してしまうこともあるでしょう。

 例えば、台湾の迅速なコロナ対策に、ただ「台湾スゴイ」という記事が出回る事も増えてきましたが、「〇〇スゴイ」「〇〇ヒドイ」と言った短絡的で安易なストーリーの裏に、どんな歴史的背景があるのかを見極めるマインドや、批判的に様々な事象を多面的に見る姿勢は、どこの国・地域に居ても必要だと思います。

 私は、大学に入って学問を追求する中、研究の楽しさ、そして何よりも学問はエンパワーメントに繋がるという事を強く感じてきました。そのため、この世に未だ無い「知」を創り出す芸術的で独創的な学問の魅力さと共に、留学を通して、好きな事を更に深めていきたいと思っていました。専門分野として、二元論や枠組み自体を問うことを軸とした学際的な分野の学問に関わっていますが、多角的な視点を養う事はどんな人生を送る上でも重要です。機会を利用して、好きなことを好きと言えるおかしいことはおかしいと自分の言葉で表現できる、そんな訓練ができるよう、留学で深い学びを出来る事を願っています。

基本情報

国立台湾大学 National Taiwan University/  國立臺灣大學

No. 1, Section 4, Roosevelt Rd, Da’an District, Taipei City, Taiwan 10617

URL: https://oia.ntu.edu.tw/en/